加工事例は掲載不可能なため仮想ケースで掲載します
PETフィルムの反り不良改善に向けた工程設計と量産安定化の事例

概要
PETフィルム製ワッシャーの反り不良に対し、材料特性を踏まえた工程改善を実施しました。
ロール材特有の巻き癖による経時的な反りに着目し、加工条件の見直しだけではなく、生産タイミング・在庫管理・梱包方法まで含めた総合的な対策を実施。
材料の変化を前提とした生産設計により、品質の安定化と量産体制の確立を実現した事例です。
背景と課題:加工直後は正常。それでも発生するワッシャーの反り不良
量産工程でワッシャーの反り不良が発生。品質安定化に向けた改善が求められました。
本製品に使用されるPETフィルムは、ロール状で供給される材料です。
そのため、材料には巻き癖が残り、プレス加工直後には問題がなくても、保管期間の経過とともに徐々に反りが発生する特性がありました。
単純に加工条件を調整するだけでは、安定した品質を維持することはできず、材料の時間変化そのものと向き合うことが、今回の大きな課題となりました。
お客様の困りごとを、工程全体から見直す
お客様の課題を受け、営業担当Tは解決への道を探りました。
「安定した品質で、安心して使っていただける製品を届けたい。」
その想いを受け、技術者Tは新たな視点で改善方法を検討しました。
「加工だけを見るのではなく、材料・生産・保管まで含めて考える必要がある。」
こうして、工程全体を見直す改善への挑戦が始まりました。
【第一の挑戦】反りを抑えるために導入した熱処理。ところが、新たな問題が…
まず取り組んだのは、熱処理によるエージング加工でした。
材料内部に残るゆがみを緩和することで、反りの低減を目指しました。
一定の改善効果は確認できましたが、工程追加によるコスト増加という新たな課題が発生してしまいました。
【第二の挑戦】材料を変えてもダメだった。反り不良を変えた、逆転の発想
次に着目したのは、PETフィルムそのものが持つ材料特性でした。
材料メーカーと連携し、ロール材の巻き方向を変更することで、巻き癖による反りへの影響を検証。
一定の改善効果は得られたものの、長期的な安定化には限界があったため発送を転換します。
「材料の変化を止めるのではなく、変化する前に加工する。」
材料入荷後できるだけ早い段階でプレス加工を行い、製品状態で在庫管理する運用へ変更。
材料状態で長期間保管しないことで、時間経過による反りの発生を抑え、安定した品質を維持できる生産体制を構築しました。
【第三の挑戦】加工だけでは終わらない。品質を守り抜く、納品方法の工夫
さらに、納品時の品質維持にも着目しました。
従来の袋詰めでは、輸送中の整列状態や反り確認に課題がありました。
そこで、お客様と仕様を検討し、専用ケースを共同設計し、製品を一直線に保持できる構造にすることで、反りの確認性を高め、さらに異物混入も防止。
加工から納品まで、品質を守る仕組みを完成させました。
この記事の冒頭にある写真がその製品です。
成果:年間最大200万個へ。品質改善が支えた量産体制
材料特性を踏まえた工程改善と生産運用の見直しにより、反り不良を安定的に抑制することに成功しました。
さらに、製品状態での在庫管理や専用梱包設計まで含めた品質管理体制を構築。
その結果、年間20万~30万個規模だった生産量は、最大200万個規模も問題なく納入しました。
現在も同一仕様で継続採用いただき、安定した品質と供給体制を維持しています。
課題の本質を見極め、最適な生産体制を構築する
今回の改善は、単に反り不良を解消しただけではありません。
材料特性、生産タイミング、在庫運用、梱包方法まで工程全体を見直し、品質を安定させる仕組みそのものを構築しました。
「なぜ不良が起きるのか」を追究し、製品単体ではなく、その先の工程まで考える。
それが、山田製作所のものづくりです。
お客様ごとの課題に向き合い、最適な加工方法・生産体制をご提案します。
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